藪を抜け戻ってみると、既に料理は出来上がっていた。
既にオヤジは料理をみまみながら酒をすすっていたのだが、何か違和感を覚えた私。
オヤジと一緒に座り込んで料理を啄んでいるのは近所の娘たちのみで、当の姉妹の姿は見当たらない。
「あれ、娘たちは何処に行ったの?」
英語で聞いてみるも、オヤジを含めた彼女たちはただ微笑みながらコップを差し出すだけ。
ここにいる皆は英語が不得手な事を察した私は、とりあえず差し出されたコップを受けとり乾杯。
“まぁ、すぐに姿を現すだろう。”
たいして気にもかけていなかったが、一向に彼女たちが現れる気配はなかったのでした。
言葉は通じないとは言え、それなりに盛り上がるから酒の力は偉大である。
いつしか姉妹のことを忘れオヤジらと酒に興じていた私。
用を足しに外へ出ようとした時に、陽はとっくに落ちて周囲がすっかり暗くなっていたことに気づく始末。
“そう言えば、姉妹は未だに姿を現さないなぁ・・・”
初めは、オヤジの前で彼女らが変な事を喋らないかを警戒していたはずなのだが都合の良い話である。
彼女らが居ないと会話が成立しない不便さよりも、むしろ単純に彼女らが気になってきた私。
そう思いながら用を足すために暗がりに足を踏み入れようと外に出た時、少し向こうの薄明りの元で姉妹の姿を発見したのでした。
とは言うものの、まず放水しておかないと落ち着いて話ができる心境にも慣れない私は、そそくさと用を足すと彼女らの元へ足を運んだのでした。
私が近づいた気配を感じてか彼女らが振り、こう言ったのでした。
「どう楽しんでる?可愛い娘もいたでしょ♪」
こう言い放った姉の意図は何なのか、理解に苦しみながらも私は、
「楽しいよ。美味しい料理をありがとう」
と、当たり障りのない言葉を返した。
しかし、3姉妹揃ってクスクス笑い始めたのでした。
これまでの流れから、3姉妹は仲が良くないのではないかと思い込んでいたが、それは私の思い過ごしだったようだった。
彼女らは、3人で食事を取っていた様子で会話が交わせる楽しさも手伝い、私はしばし姉妹に合流し会話を楽しむことにしたのでした。
やはり気になるのは、“何故彼女たちが宴の席に顔を出さないのか”ということ。
早速、それを切り出してみると、あっさりと意外な答えが返ってきたのでした。
「お父さんは、あの中の娘の中から誰かをアナタに連れて帰らせようとしてるのよ、だからアナタの相手が決まるまでは私たちはここに居るのよ。アナタが誰かを決めたら私達もみんなに合流するの。」
。。。
しばらく言われた事を理解するのに時間を要した私だったが、以前に中国の山奥で似たような経験をしたことを思い出したのでした。
彼女の行っていることが本当ならば、おそらく宴に参加している彼女たちは普通の近所のお姉さんというわけではなさそうだ。
しかし私の好みは、圧倒的にこの3姉妹のほう。
しかもさっき出会ったばかりの次女のほうもなかなかの美形。
私は無意識にチラチラ次女を見ていると、これまで英語を喋れることを隠していた三女が割って入ってきたのでした。
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