「この中からアナタの気に入った娘を部屋に連れて行くけど、どの娘がいい?」
長女がオヤジの言葉を翻訳し私の背中の後ろから呟いた。
やはり思った通りの展開なのだが、長女はいったいどんな顔をしながら言っているのだろう?
つい今朝まで私の一緒に部屋にいた長女のことが気になったが振り向いて顔を確認する気にはなれなかった私なのでした。
“さて、どうしたものか。。。”
オヤジの視線を感じながら沈黙を続ける私は酔いなど吹っ飛び頭を巡らせたのでした。
明らかにオヤジの3姉妹のほうが上物(と言うか私の好み)。
ここで他を選ぶと、きっと以降に3姉妹と交わる機会は減ってくるだろう。しかし、オヤジはなぜ何の利害関係もない私にそこまでしようとしているのだろうか。。。
ふと、当の娘たちのほうに目をやったが、彼女らは私の視線を感じると皆微笑み返してくる。
こういうコトに結構慣れていることは彼女らの仕草で感じ取れたのだが、3姉妹と比較するとやはり選ぶ気にはなれない私に気づいてか、次女が口を挟んできたのでした。
「別に好みの娘が居なければ、そう言えばいいのよ。気にする必要はないわよ。」
オヤジの本心も読めないでいた私は、丁重に辞退することにし、長女を通してその旨をオヤジに伝えてた私なのでした。
機嫌が悪くなるかとは思ったが相変わらず微笑んでいるオヤジ。
むしろその方が気味悪く感じた私だったが、何やらベトナム語で彼女らに告げ私に酒を進めてきたのでした。
最終的には選ばれなかった彼女たちはいなくなるのかと思いきや、座り込んだままで退席する気配はなく相変わらず私の視線を感じると微笑み返してくるのでした。
長女と次女も座り込み通訳がてら酒を酌み交わし始め、意思疎通ができ始めったことも手伝い、徐々に宴は盛り上がり始めた矢先。
結構酒が回って来たのであろう顔を赤らめたオヤジが長女に何かを告げたのでしたが、理解できるはずもない私。
オヤジの話しが終わるや否や席を立った長女は真っ暗な庭にそそくさと去って行ったのでした。
ものの数分で戻って来た長女、胡坐をかいていた私と次女の間に割り込むように座り込み、オヤジと二言三言会話を交わすと、軽い溜息をつきながら酒をすすったのでしたのでした。
何事もなかったように再開された宴会。
私は、長女がオヤジの言葉で席を外した理由など気に掛けることもなく酒と会話に興じたのでした。
一通りの料理の皿が空になり始める頃に召集された彼女たちは、オヤジ、私と長女と次女を残しもう合わせたように席を立ち始めたのでした。
案の定、彼女らが戻って来る気配はなく、直感的に彼女らが去っていくことを悟った私に安堵の思いがこみ上げて来るのを感じたのでした。
“これでもう込み入った話にはならないだろう・・・”
そう思い始めると、一人で軒下に残った三女のことが気になり始め、三女もこちらに呼ぶよう尋ねた私に答えたのは次女でした。
「今いないのよ。外出してて、じきに戻って来るわ」
とは言われても、こんな片田舎で夜に出歩くような所なんてあろうはずがないのだが・・・。
しばらくすると、奥の台所で声が聞こえ始め三女が戻って来たのであろうことは、容易に察しがついた私。
しかし、声の主は一人ではさそうで明らかに複数人が台所にいることに気づいたのでした。
用を足すがてらに様子を窺うことにした私が台所を覗いてみると、そこには数人の娘たちが屯しながら食べ物を頬張っていたのでした。
さっきまでいた彼女たちではない、しかもかなり若い。
私に気づくと屈託のない笑顔で微笑んでは、キャッキャと何かを話しているのでした。
すると背後からこう囁かれたのでした。
「アナタは、どの娘が好み?」
振り返ると、微笑んでいるオヤジ、それと声の主の表情を消した次女が立っていたのでした。
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