時折途絶えるシャワールームからの音楽、その度に彼女が何やらブツブツ言っているのが分かる。
そう言えば、着信やメッセージ受信した場合、その着信音が大音量でスピーカーから鳴ることを防ぐ機能が搭載されていることは伝えていなかった。
ベッド脇に取り残された彼女のスマホを覗き込んでみると、案の定いくつかのメッセージを受信していたことが点滅するLEDとポップアップ画面から確認できた。
“まぁ、シャワーの音が聞こえている間に彼女は戻ってこないだろうし大丈夫だろう。。。”
いけないとは知りながら彼女のスマホを手に取ってみた私だが、やはり画面にはロックがかかっていて中を覗き見ることはできない。
私が手に取っている間にも何通かのメッセージが受信される彼女のスマホ。
のぞき見を諦めベッド脇にスマホを戻そうとした私だったが、背中に気配を感じその手を止め振り返ったのでした。
何時の間に戻って来たのか、そこには彼女が立っていた。
その目つきから彼女が起こっていることは容易にわかりマズイと感じた私はとっさに、
「いやぁ、時々音楽が途切れていたようだったので調子が悪いのかなと思ってスマホを手に取っただけなんだ。画面ロックがかかっていて中は見ていないから安心して。」
と言う、急場しのぎに口走ったのでした。
納得したのかどうかは分からないまま、彼女は私の手からスマホを取り上げたのでした。
「別にいいけど・・・」
受取りようによってはどうにでも解釈できる言葉を呟きながらスマホを確認する彼女。
慣れた操作で返信をしていた手がしばらく止まったままで動かなくなった彼女、返信する言葉を選んでいることは容易に察することができた。
しばらくフリーズした彼女の手が再び動き始め、どうやら返事を送信した模様。
軽い溜息の後に彼女は顔を上げ、私にこう告げたのでした。
「ごめん、ちょっと出てきていい?すぐに戻るから。」
私の返事など待つ気なんてないのだろう、そそくさとバスルームへ足を運び身支度を始めた彼女。
何を言っても結論は同じだろうし、敢えて返事しなかった私にできるのはその光景を見守るだけ。
着替えを終えた彼女は、私にそれ以上何を告げるわけでもなく部屋を飛び出していったのでした。
“こりゃ、戻ってこないんだろうなぁ・・・。”
直感的にそう感じた私は、彼女が食い散らかしたスナックの空き袋を片づけ半ば諦めモードで一人寂しく汗を流すべくシャワーを浴びることにしたのでした。
汗を流しシャワールームから出ても、やはり彼女は戻って来ていなかったのでした。
彼女が戻って来ることは完全に諦め寝床につこうとした私だったが、どうやらシャワーを浴びている間に彼女は連絡をしてきたようだった。
不在着信が3件、そしてメッセージが1通・・・いずれも彼女から。
まずメッセージの内容を確認してみると、こんなメッセージが残されていたのでした。
『部屋に鍵がかかっていて入れない!鍵を開けて中に入れてちょうだい!!!』
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