「あらっ、まだ沢山あるようね♪」
扉の隙間から部屋の中を伺い、テーブルの上に散乱する(私個人用の)カップラーメンに目をやりながらニヤける彼女は、そのまま部屋に入ってきたのでした。
“これは、マズい・・・。”
幸いテーブルに腰掛けお湯を沸かそうとしている長女は、振り返ったベッドに妹が横たわっていることには気づいていないようだ。
しかし、この部屋に妹がいることは知っているだろうに、気にするそぶりもなくお湯が沸くのを待つ長女。
私はベッドに横たわる彼女にシーツを掛けようと、物音を立てないよう長女の背後からベッドへ向かった。
が、そこに居るはずの妹の個体は、確認されなかったのでした。
“あれっ、どこへ行ったのだろう?さては、ベッドの隙間にでも隠れたのか?”
“流石に一糸まとわぬ姿を姉に見られるのはイヤなのだろう。”
短絡的にそう判断した私は、どうせ部屋のどこかに隠れているであろう妹の所在確認よりも姉を対応し窮地を凌ぐことにしたのでした。
ほどなくすると、一層激しく部屋中に響いた煮沸音がお湯が沸いたことを知らせスイッチが切れた。
姉は鼻歌交じりでカップラーメンの器に湯を注ぎながら、こう言ったのでした。
「もったいないから、アナタのぶんをもらったわね。」
「もうすぐ妹が来るけど妹にはこっち(ベトナム製)のを食べさせましょう、内緒にしておいてね♪」
“???”
私の備蓄を差し出すのはたいした問題ではない、が、姉の後半の一言が私を混乱させたのでした。
『もしかしてアンタ、既に妹がこの部屋のどこかに居ること知らないのぉぉ??』
“妹は既にここに来ているよ、しかも・・・。”
そんなコトが言えるはずもない私は、姉がカップラーメンを旨そうにそそる姿を横目で見ながら妹が隠れているであろうベッドに視線を送るものの生命体反応は確認できない。
“見つかりたくないんだろうし、息を殺し隠れているのだろうなぁ。”
“でも、さっきのカップラーメンの会話は聞いているんだろうし、日本製を進呈しないと彼女も収まらないだろうなぁ。”
この状況でも楽観的なコトしか考えられない私は、妹のことなど気にすることなかったのでした。
私はカップラーメンをすする姉にカマをかけてみることにし、こう切り出してみたのでした。
「妹は、わざわざ腹を満たすためだけにここに来るの?」
姉は、私の方に向くこともなく、こう言うのでした。
「私、全部知ってるのよ。アナタと妹のコト。」
彼女は、どこまで知っていると言うのだろう?少なくとも、ここに既に妹がいることは知っていそうもないのだが・・・。
そうこうしていると、食事を終えた彼女はおもむろに立ち上がり、用を足すためにバスルームへ向かった。
私は今のうちに妹に衣類を身に付けさせ一旦部屋から出させるために素早くベッドの裏側を確認しようとしたのでした。
が、バスルームから聞こえた姉のきゃ~!っと言う声に気づき、そちらへ足を向けたのでした。
そこで私が見たものは、呆然と立ちすくす姉の向こう側に枕を抱いてスマホを握り締めている身をかがめている妹の姿だったのでした。
“やはり、既に妹がここに来ていたことは知らなかったようだなぁ。。。”
そんなコトを考えている事態ではない状況に、姉と目が合わないようバスルームの照明を消し天井の一点を見上げながら、この場をどう取り繕うか思案に暮れる私なのでした。
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