
「ねぇ、私がもうシンガポールに帰ったと思ったの?」
私が聞きたかったことを彼女のほうからサテーをほおばりながらきりだしてきたのでした。
こちらとしてはあんなメッセージを送ってきておいて、既に彼女がクアラルンプールからいなくなっていると思うのは当然です。
「アナタが何も言わずにいなくなったから意地悪したのヨ」
しかし続いて彼女の口から出た言葉に、私は俯くしかなかったのでした。
「でもね、本当に今晩が最後なの。明日シンガポールへ戻るの」
この言葉に少し安堵した私だったが、“今晩も彼女と一緒に過ごす”という雰囲気が2人を包んでいたのは言うもでもなかったのでした。
ほどよく腹ごしらえを終え屋台を出た二人。
ブキビンタンのバー通りはちらほらと開店を迎える時間で、まだまだ夜は浅い。
「まだ早いし、どこかで飲んでいく?」
彼女の返事は“NO”。
明日の支度もあるので部屋に一緒に戻ろうというのが彼女の提案、断る理由もなく昨晩一緒に過ごした彼女の部屋へ足を向けた2人なのでした。
彼女は部屋の扉を開けるとすぐさまシャワールームへ。
彼女の出てくるのを窓から見えるツインタワーを眺めながらタバコを燻らせる私。
「ここからから見るツインタワーって、きれいよね」
シャワーを終え部屋着に包まれた彼女が割って入ってきた。
しばらくの間夜景を見ながら会話を交わしていたが、お互い“目的”は別のところにあることは暗黙の了解。
会話の合間が長くなるにつれて、相手の心中を探りながらも物理的に縮まる2人の距離、どちらから誘ったわけでもなく窓際の長いソファーに腰を下ろす2人。
おそらくベッドでもよかったのだろうが今晩は「3連戦の3戦目」、知らず知らずのうちにお互いが別の“刺激”を求めていたのかもしれません。
“最後の夜”の戦場の場を“ツインタワーの眺めながらの窓際のソファー”に選んだ2人だったのですが、ここで昨晩彼女が私に伝えたコトが“現実”となって訪れたのでした。
確かにこのことを昨晩私に告げていた彼女。
その後いろんな出来事があり、すっかり忘れていた私。
これが彼女が部屋に戻るなりシャワールームに駆け込んだ理由だったことに気づくのにそうは時間はかかりませんでした。
“さて、どうしたものか。シンガポールではこういうのを気にせずにするのかなぁ。まさか、3戦めは、こうなるのか。。。”
あまり流血戦が得意でない私が怯んでいるのを気づいていないのか、“最後の夜”を楽しもうとこれまで以上に積極的な彼女。
窓の外からライトアップされそそり立つツインタワーが”私のモノ”の不甲斐なさをあざ笑うように私たちを覗き込んでいるのでした。
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この記事へのコメント
pearl
そうですよねー、生活していく上ではある事なんですよね。
生理前なんかも女性は何かを求めてくる時ってありますよね。
でも彼女さんも何か楽しんでる感じが伝わりますねっ
そうそう、ツインタワーはどちらが清〇建設が建てたか解りましたか?
グランドオフィスのフロアー表示を見比べたらわかるんですよね。テナントが極端に違うんですよねー
かる
いつも応援ありがとうございます♪
できれば流血戦は避けたいですよねぇ(笑)。
ツインタワーは夜見ると一目瞭然ですよね、あまりにもアンバランスな部屋の光ですんでインスタ映えもしないし。。。ははは。
かる