着信に即座に応答しようとしたが、少し間を置くことにした私。
全部で8~9回くらいコール音が鳴っただろうか、しばらくすると音声呼び出しは途絶えたのでした。
チェックイン後にメッセージでも送ってみようとしていたが、彼女からのメッセージが先に飛び込んで来たのでした。
「久しぶりぃ、元気ですか?今もクアラルンプールですか?会いたいですね♪」
短いメッセージだったが、私が返信するには十分な内容が盛り込まれている。
私は、自分が今バンコクの空港でシンガポールへ向かう飛行機に乗ろうとしていることを搭乗する便名と一緒に返信したのでした。
チェックインを済ませラウンジで搭乗待ちのしている間も彼女からの返信を待っていたが、メッセージが来るのはタイのお姉さんの営業メールが数通のみ。
結局、彼女の返信を着信しないまま搭乗時間となってしまいゲートへ向かった私。
“さすがに彼女もやっぱり地元では遊びにくいよなぁ~、考えてみれば都合がよすぎる話だよなぁ。。。”
飛行機の扉も締まりアナウンスに従いスマホの電源を落とした私は、彼女と会えるかもという期待は崩れ去ったのでした。
しかし、何かしらスッキリした気分になっている自分が少々不思議だなと感じていると、期待は徐々に滑走路へ向け後進を始めたのでした。
“ほう、珍しく定刻出発じゃん。”
滑走路へ滑り出した私を乗せたタイ航空の機体は、ひときわ高いエンジン音と共に加速。
しばらく強烈なGを体に感じていると、一路シンガポールへ向け離陸したのでした。
ラウンジで既に酒を煽っていたせいもあり、機内食のメニューを眺めているうちにいつしか眠りに落ちていた私。
合計でも2時間半程度のフライト。機体は着陸態勢に入ったようでキャビンアテンダントから座席のリクライニングを元の位置に戻すよう揺り起こされたのでした。
窓の外には、すぐ下に迫っているシンガポール海峡に浮かぶ貨物船の群れ。遠くにはシンガポール人ご用達の快楽リゾートであるバタム島がうっすら見える。
無事定刻でシンガポール チャンギ空港へ着陸したが、イミグレからはかなり遠いゲートで下され少々不機嫌になる私だったが、飛行機を降り足早に入国審査場へ向かうのでした。
途中でスマホの電源を入れ彼女からのメッセージを確認してみるが、やはり返信は来ていなかった。
完全に吹っ切れた私は、早々にイミグレをくぐり素早く地下鉄に乗り込めたのでした。
機内に預け荷物がない短期の旅行は身軽で有難いもので、飛行機を降りてから10分も経っていない。
と、そんな些細な自己満足に浸っていると私のスマホが着信音と共に振動し始めたのでした。
「もう着いた?私もさっきクアラルンプールから戻って来たのよ。アナタ今何処にいるの?」
地下鉄に乗ったばかりでセントーサに向かっていることを伝えると彼女はこう答えたのでした。
「もう電車の中なのね。私は駐車場で車を取ってから市内に帰るんで、最寄りの駅で電車を降りて待ってて。」
相変わらずのわがままというか天動説っぷりは、以前の彼女のまま。
しかし彼女の強引さが何故か心地よく思えた私なのでした。
私は彼女の指示通り次に停車したTanar Merah(EW4)という駅で電車を降りたのだが、なんせ初めて降り立つ駅で右も左も分からない。
“本当に彼女は現れるのだろうか。。。”
少し不安になったものの下車した駅名をメッセージで伝え彼女が現れるのを待つことにしたのでした。
(シリーズカテゴリ)
チャイナタウン物語の記事一覧
(マレーシア関連の記事)
【別館】マレーシア夜遊びの記事一覧
マレーシアの夜遊び♪の記事一覧
マレーシアの記事一覧
マレーシア料理の記事一覧
この記事へのコメント
pearl
シンガポールの電車は一度だけ乗ったことありますねー。
海外の電車って新鮮ですし電車乗って外眺めるの好きなんですよ 笑
バタム島も一度だけ行きました。
知り合いは観光が全くないよって言ってて半信半疑で行ったらホント何も無かったですね
良い思い出です。
でも、一度離ればなれになってまた逢えるってウキウキしちゃいますよねっ
かる
シンガポールの電車って便利ですよねぇ。
私は深夜便で帰国する際、午前中にチャンギ空港に到着するようにして電車で町まで繰り出してました♪
バタム島まで行かれたのですね。。。立派な勇者ではないですか!!。。。変える時には賢者(モード)になってるんですけどね(笑)。
かる