しかし、なかなか彼女は現れない。
ただでさえ土地勘のないシンガポール、しかも見知らぬ駅。
なす術もない私は待つしかなかったのでしたが、30分くらい経ったでしょうか迎えがようやく現れたのでした。
ただ1つ私の予想と違ったのは、迎えに来てくれたのはクアラルンプールの初日に出会った晩の初日に分かれた彼女のほうだったのです。
“なぜ、彼女がここに・・・。”
と一瞬思いながらも、彼女についていく私。
手を引かれながら到着した先は、駅の構内にあるスターバックス。
時間帯のせいもあってか店内に殆ど客はいなかった、私たちは隅っこの席に着いたのでした。
「暑いから冷たい飲み物でいいよね」と半ば強制的に私の注文を決め席を離れた彼女は、2杯のアイスコーヒーの乗ったトレイとともに戻ってきたのでした。
「久しぶりだねぇ~。」
と軽く乾杯し改めて会話を始めたものの、やはり気になるのは迎えに来るはずだった彼女のほうのコト。
すると、コーヒーを啜りながら彼女のほうから切り出してきたのでした。
「あの夜は楽しんだわよねぇ。アナタたちはあの晩の後も何回か会ってたんでしょ♪ふふふ💛」
“彼女は、どこまで知っているんだろう。。。”
彼女の意味深な発言に苦笑いするしかない私に、彼女が続けて口にした一言で現在の状況が飲み込めたのでした。
「アナタの彼女は、もうすぐ来るわよ。今車を停めに行ってるの、少し来るのが遅れたから私だけ先にここに来たのよ。」
少し安心した私を察してか、彼女は何やらニヤニヤしている。
“よく見るとこの娘も可愛いなぁ。こっちでもよかったかな・・・”なんて私が思っていることとは夢にも思っていないだろう。
そんなことを思いながらも、平然を装いコーヒーを啜っていると待っていた彼女が現れた。
「久しぶりね、待たせちゃってごめんなさいね。でも、どうせ二人で仲良く私の悪口でも言ってたんでしょ♪」
“大阪のおばちゃん”ぶりな登場の仕方は、彼女の照れ隠しの表現だと思うのだが、実はシンガポールでは通例なのであろうか。
彼女は、そう言い残し一旦席を離れ自分の飲み物を注文しにカウンターへ消えていったのでした。
「どう、久しぶりに会った感想は?」
と私をからかうような意味深な目つきで私を見ながらストローを弄ぶ対面に座っているほうの彼女。
“こいつ、結構♂の扱いは慣れているな。一体この二人って、どういう関係なのだろう”
そうこうしていると、飲み物を片手に戻ってきた彼女。
暗黙の了解のように席を立ち、3人でスターバックスを後にしたのでした。
「アナタ、シンガポールは詳しくないのよね。せっかくだから少し観光でもしましょうか。」
シンガポールの観光なんておおよそ想像がつくし、土地勘がないと言えどだいたいは回っている私だが、彼女の車に乗り込んだ以上は彼女に従うしかない。
一路私たち3人を乗せた車は、シンガポール市内へ向かったのでした。
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