
「乾杯~❤」
私達3人は赤ワインのグラスを交わすと、一気にそれを飲み干した。
「じゃ、そろそろ行きましょうか♪」
連れの彼女のほうはこう言いながら席を外したが、精算しに行ったことは明らかであった。
しかし、クレジットカードは持っているものの私の財布では賄えそうにない金額であることは確か、彼女を横目で追いながらも後を追うことはしないのは危険予知能力の高さの賜物。
“いったい、いくらぐらい支払ったのだろう・・・”
そんなことを思いながら店員とやり取りしている彼女を見つめていると、私の腕にまとわりつきながら甘えた声を発する彼女。
「やっぱり、あの娘のほうが好みなのぉ~?悲しいわぁ。。。」
これが冗談であることは彼女の表情から容易にわかった私だが、じゃれつく彼女が急に酔いが回っていることに驚かされるのでした。
それが演技かどうかは定かではないものの悪い気がするわけがない、私は腕を通して感じる彼女の2つの柔らかい温もりを感じながら、クアラルンプールでの出来事を思い出さずにはいられなかったのでした。
周囲の目を気にせず私にキスを迫ってくる彼女、しかしいつの間にか精算から戻って来た方の彼女が制止したのでした。
「あら、イイ感じに酔っちゃってるわねぇ。ちょっと酔い醒ましに散歩でもしたほうがいいかもね。」
私達3人は、ONE ALTITUDE BARを後にしてタクシーに乗り込んだのでした。
助手席には精算を済ませた彼女、私は酔っ払ったほうの彼女を膝枕しながら後部座席へ。
タクシーに乗るや否や助手席からは寝息が聞こえ始める、それを良いことに後部座席でいちゃつく私達。
「で、今何処へ向かっているの?」
膝の上の彼女は車を乗り捨てた駐車場まで戻ると言うが、運転なんて到底できないだろうに。。。
マーライオンまで戻りタクシーを降りた3人、私が駐車場の位置なんて分かるわけもなく彼女らのリードに従うしかないのでした。
按摩へ行く前に彼女らが言っていたように、確かにベイエリアは夜の方が向こう岸にライトアップされたマリーナベイ・サンズも拝むことができ断然雰囲気が良い。
酔っ払いテンションの高い彼女は妙に嬉しそうではしゃぎ回っている。
それを苦笑いしながら眺めていると、
「彼女、アナタに会えるのをとても楽しみにしていたのよ❤」
タクシーの助手席で寝息を立てていた彼女が私の耳元で囁く。
私たちは、少し離れたところではしゃぐ彼女の目を盗み、ごく自然に軽く唇を重ねたのでした。
“おぉ~っ♪、さすが夜の海辺は万国共通で効果はバツグンだぁ~、たいがいの獲物はこのシチュエーションで堕ちる!”
こちらとしては、こっちの彼女がお相手でも全く問題ないのだが・・・。と言うか、酔ってはしゃぐ彼女がなんだか幼稚と言うか、猿に見えてきたと言うか、何か複雑な心境に陥ってきたことに気づく私なのでした。
そんな私の心境の変化を察してか、
「そろそろ行くわよぉ~!!」
と大きな声を上げながら私から離れて言ったのでした。
再びタクシーに乗り込んだ3人、相変わらず行先を知らない私であったが、目の前に徐々に近づいてくるマリーナベイ・サンズは気づいていたのでした。
“まさか、マジでここが目的地なのかぁ・・・”
期待はあるものの、ルーフトップバーから眺めて冗談半分に話題になっただけ。
期待通り(?)マリーナベイ・サンズの前で我々を降ろすと立ち去って行ったタクシー、あの短時間で部屋を予約することなんてなかったはずだが・・・きっと、ここでもう一杯ひっかけるのだろう。
私の予想はどうやら当たっていたのか建物の中へではなく、ベイが見渡せる眺めの良いテラスへ誘われた私。
ここからの眺めもなかなか絶景、さぞ上のホテルから見れば最高の景色が拝めることは容易に想像が付いた。
しばらく夜景を眺めながら夜風に当たっていた3人だが、
「じゃ、私はここで失礼するね。お楽しみに~♪」
と言い残し、彼女は私に軽くウィンクすると姿を消したのでした。
結局、その晩は彼女の顔を見ることはありませんでした。
彼女が立ち去る時に、何となく酔っ払い私に纏わりついている彼女と何かアイコンタクトを交わしたような気がしたが、それよりも自分がこれからどうなるのかが気になって仕方ない私なのでした。
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