車好きなお姉さんの誕生日パーティが楽しくなかった話

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タイの人も車好きの方が多いようで、バンコクでもナショナル コンベンション センター(Queen Sirikit National Convention Centre)やバイテック(Bitec)あたりでよくモーターショウとかやってますよね。
知り合いのお姉さんも私が車好きというのを知っていて、このようなイベントがある際にはお誘いのメッセージが届いたりします。
私も嫌いなほうではないですし、タイ語字幕の英語の映画なんて観に行くよりはよっぽどマシなので時間が許せばデートがてら足を運びます。





一般的には“お姉さんはあまり車に詳しくない”というのが通説ですが、時々やたら車に精通しているお姉さんが存在します。
まぁ、趣味が一致しているということで、そんなお姉さんとモーターショウなんかに行っても話も弾み、楽しい時間が過ごせるのです。

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とある日、そんな車好きのお姉さんから実家で開く誕生パーティの誘いが来たのでした。

“いやいや、今バンコクにいるし、残念だけど実家にまでは行けないよぉ”

と、返信したのですが、彼女の実家はバンコク郊外とのこと。
一人暮らししている彼女をてっきり田舎出身の出稼ぎ組だと思い込んでいたのですが、そうなると断る理由も見当たらず適当な安いプレゼントを調達し誕生パーティに足を運ぶことにした私。

パーティは実家ではなく近所のレストランで行われるとのことで、彼女の指定した場所へ少し遅れ到着。
奥のほうから聞こえる楽しそうな声から、既にパーティが始まっていることはすぐにわかりました。
が、車を駐車しようとした私は何かしら違和感を覚えるのでした。

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“何か雰囲気が違うなぁ・・・なぜだろう??”

そんなことを思いながらも空いている場所を見つけ車を停め、調達した安いちんけなプレゼントを片手にレストランへ足を進めます。
しかし、さっきから感じていた違和感は増すばかり。。。なんなんだ?この感覚は。。。
足を進めるにつれて強くなる違和感でしたが、ようやくその原因に気づいたのでした。

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それは、既に停車されていた車たち。
しかし見事に高級車のオンパレード、ここって本当に誕生パーティの会場?何かの間違えでは??
スマホを取り出し彼女に連絡を取ろうとするも、応答なし。

“さて、どうしたものか。。。”

中に入るに入れず、というかズラリ並ぶ高級車たちに時間を忘れ見っていた私でしたが、「一応連絡しようとしたけど音信不通だった」という理由で撤収を決意。





最後にもう一度ということで、彼女に連絡を入れる私。
すると、運が良いのか悪いのか電話に出る彼女。

「あなた、どこにいるの?もう始まっているのよ!!」

半分は酒の勢いであろうテンションの高い声が受話器の向こうから聞こえたのですが、背後で流れている音楽が私のスマホを当てている反対側の耳から聞こえてくる音楽と完全一致。

“やはり、場所はここで間違いないようだ・・・しかし、この車たちって・・・。”

結局、彼女に誘わるままパーティへ合流。
レストランは貸し切り状態だったということは、このパーティの参加者があの高級車のオーナーたちと言うことになる。

“こんな若造たちが、なぜあんな車を乗り回せるのだ???”

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幸い、先に到着している若造たちは私の車は知らない。
彼女の日本人の友人と言うことで皆に紹介されたのですが、みんな英語は堪能だし中には日本語を巧みに操る若造たち。
結構、停車されていた車もそうだが、高い教育を受けていて金持ちの家に育っていることは容易に想像できたのでした。

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“しかし、こんな金持ち達のパーティが、なぜムーガタなんだぁ?”

とは感じたものの、彼女へのプレゼントであろう隅に並べられたモノが“パーティ参加者がそれなりの家庭の一員”であることを教えてくれていたのでした。
車談議に花を咲かせてもよかったのですが、何とも居心地が悪く皆の輪の中になかなか入れない私。

“これは、私の車がバレないようパーティが終わる前に撤収したほうが良さそうだ。”

直感的にそう感じた私は、架空の用事をでっち上げ何とかパーティから抜け出すことに成功。
パーティが終わるまで居てもよかったのですが、

“帰りにあの高級車たちに交じってしまうのは、ちょっとバツが悪い。これで私の車は皆にはバレずに済んだ。”

という、妙な見栄っ張りな思いが私をそうさせたのでした。
しかし、翌朝に出かけようとした私の車にある異変を発見。

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いやぁ、確かにしばらく洗車していなく泥んこな車だったのは認めますがねぇ。
流石にこれはないだろ!
この落書きを昨晩の高級車を乗り付けていた金持ち連中の誰かが描いたかと思うと、普段は笑える冗談も素直に笑うこともできない私なのでした。
描いたヤツからすると小さなイタヅラだったんでしょうがねぇ。

“君がマクラーレンとかポルシェとか乗っていなかったら、きっと許していると思うけど・・・”

そう思いながら洗車し落書きを消そうともしたのですが、よく眺めてみるとなかなか上手に描かれているではないですか。
思い直した私は洗車を止め、しばらくドラえもんを背負ったまま数週間を過ごすのでした。

で、あの車好きの彼女は一体何者なのでしょう???
もしかして、これって人生逆転の大チャンスの到来かぁぁぁ!!





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